ケ ニ ア 共 和 国
カジアド県イシニア郡における、
草の根レベルの地域住民に対する
キャパシティー・ビルディング教育を基盤とした
有機農業教育と貯水池建設

支援機関:独立行政法人 国際協力機構(JICA)

事業対象地:カジアド県イシニア郡12カ村
2007年4月1日〜2008年3月31日(第2年次)

【 第 2 年 次 の 事 業 概 要 】
当事業は、ケニア南部に位置するエンキリギリ町(6カ村)とイロポロサット町(6カ村)の合計12カ村に1エーカー(0.4ヘクタール)の実験農場を設置し、干ばつで苦しむマサイ族に対し、農業技術の指導を行う事業です。実験農場には雨水を溜めるための貯水池(約150万リットル)を堀り、雨期に降る限られた量の雨水を保管する方法を用いました。貯水池の水は、主に農業に利用しています。また、ICAのキャパシティー・ビルディング研修は、地域発展メンバー(Community Development Members...CDM)を育てる研修です。事業後も、地域の発展活動や社会貢献活動を持続するメンバーを育成します。

12カ村で実施した主な活動内容
1. キャパシティ・ビルディング研修
2. 農業技術研修
3. 貯水池建設事業


下の地図は、イシンニャ郡のエンキリギリ町とイロポロサット町の地図です。村レベルになると地図が役場にも存在しなかったため、自分たちで足を運び作ることにしました。
イシンニャ地区には7つの町が存在し、エンキリギリ町(西側)とイロポロサット町(東側)は南にあります。2006年度は東側のイロポロサット町6カ村で事業を行い、2007年度は西側のエンキリギリ町6カ村で事業を実施しました。



イシンニャ地区の事業地です。
緑の◯が、村に設置される実験農場の場所です。


キャパシティ・ビルディング研修の様子

 
キャパシティ・ビルディング研修は、各村約30名が集まり、12カ村で合計360名の参加者にキャパシティ・ビルディング研修を行いました。
村のビジョン達成や地域発展事業の内容について話し合い、農業に関しては、研修に参加していない住民のために実験農場をどう継続して伝えて行くのかを話し合いました。

 
農業で自立発展活動を開始した参加者の他、マサイ族の民芸品でもあるビーズ製品の品質向上を行いたいという女性、ユース対象の職業訓練を始めたいという男性、女性組合の収入向上プログラムなどを拡大させたいなど、参加者により様々な自立発展活動が出てきました。

 
第3年次は、12カ村の実験農場をマネジメントするグループの構成と研修、また地域の自立発展活動を実施するCDMの研修を続ける予定です。

 

農業技術研修の様子

 
日本人農業専門家の吉村氏が有機農業について研修を行いました。各村約30名が集まり、12カ村で合計360名にトウモロコシやマメ、ソガムの飼育方法や野菜の栽培方法などを学びました。

 
「こんなに野菜ができるなんて!」と驚く女性達。今までは家畜の放牧、ヤギの乳を売りながら生計を立てていた人達が農業という新しい技術で生活を改善できると喜んでいます。

  
12カ村の実験農場で栽培したのは、トウモロコシ、マメ、ピース、ソガムなど。

 
第1、第2年次は各村で同じ種類の野菜を栽培しましたが、第3年次は各村のマネジメントグループが興味をもつ野菜や穀物を栽培していく予定です。また、農業省(カジアド)のジョン氏は「イシンニャで農業を始めたい、また畑を改善したいという人はいつでも事務所に来て下さい、アドバイスします」と積極的なサポート体制を住民に伝えました。


実験農場を持続させるための課題は、野生動物や家畜から野菜や穀物を守る事です。地域によっては、縦にワイヤーを付け足し、ヤギなど小さい動物が農場に入らないようにしていました。

  
金銭的にワイヤーの購入が難しいという村でも、現地で育つトゲの生えたアカシアの木を周りに積み上げ動物の侵入を防いでる村もあります。ただ、このアカシアは1シーズンで枯れてしまうので、フェンスを継続させる課題もあります。

 

貯水池の様子

 
雨水を溜めるための貯水池です。約15万リットルを溜めることができるサイズです。各村の実験農場に設置し、年に2回降るか降らないかの限られた雨水を溜める役割を果たします。貯水池は、あくまで雨期に降る雨水を溜めるための貯水池です。村によっては「1年中、野菜が採れるよう、屋根の水をタンクに溜めてはどうか」や「近くにコミュニティーの井戸があるから乾期はそこから水をひいて溜めておこう」などの意見がでました。

 
村によっては、大きな石があり深く掘ることができない場所もありました。第2年次が終了した時点で、12カ村中10カ村の貯水池が完成しました。

 

農業祭の様子

 
雨期は年に2回あり、4月頃と10月頃です。最近は不定期で8月に降ったりという事もあります。貯水池に水が溜まる毎年2月頃に、農業祭を行っています。当事業の結果を披露する農業品評会のようなものです。

  
今年は、隣町のキテンゲラ中学校から40名の生徒、また有機農業を推進する組織などが店を出すなどしました。JICAケニア事務所からは、10名の方々が訪問して下さり、当事業を改善するための専門的なアドバイスをいただきました。

  
12カ村のうち、とても充実した実験農場をつくった2カ村には、JICAケニア高橋所長から記念のトロフィーが贈られました。最後にはマサイ族の伝統的なダンスを披露し農業祭は終了しました。

 

JICA地球ひろば テレビ会議の様子

 
2007年9月21日に行われたテレビ会議の様子です。生中継で東京(広尾JICA地球広場)⇔ケニア(JICAケニア事務所)を結びます。ケニア側では、JICAケニアの狩野前所長がマサイ族グループに激励の言葉を述べてくださいました。

 
JICA地球ひろばの会議室には約30名の方々が事業対象地の住民との意見交換をしようと集りました。ケニア側で待機するマサイ族も日本の人達に何を質問しようか話し合いました。

 
日本とケニアのテレビ会議は、とても楽しい雰囲気で進み、最後にケニアの事業参加者からは「JICAサポートで実施している当事業で学んだ事はとても為になっています。もう少し時間をかけて能力を向上(Capacity Building)していきたいです。」と述べました。

国際協力フェスティバル(2007)様子

 
当事業に興味をもった方々はたくさんいらっしゃいました。

 
農業と貧困削減、気候変動の関わりについて話をする理事長と参加者。


当事業の内容を記載したイシンニャ限定で発行しているニュースレター第1号、2号。

JICAの支援で可能となった、このマサイ族に対するキャパシティー・ビルディングは彼らの文化、社会、伝統を尊重した発展、生活改善事業として少しずつ進んでいます。今後も継続して報告させていただきます。